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2006年3月15日

●vol.109:本当にあった2つの話(2009/11/16追記)

先週末、横浜に行った。
メインの予定は夜だったので、横浜に初めて来た友人とあっちこっち散策した。
私自身も8年ぶりの横浜だったので、楽しかった。
赤レンガ倉庫にあるハンバーガー屋さんで大きなハンバーガーを食べたり、その後、歩いてすぐなのに、シーバスに乗って山下公園に行ったり、休日に外出することがあまりない私には、小さな冒険だった。

山下公園には、いろいろ記念碑があったりする。横浜自体、「○○発祥の地」っていうのが多いんだけど。
「かもめの水兵さん」の歌の記念碑、フィリピンの英雄・リカルテ将軍・・・など、横浜らしく、港や海外の関係の話がほとんど。
実は、記念碑や銅像の由縁を調べたりするのも、私の隠れた趣味の一つなので、探し歩く足取りも軽い軽い。
そして、やはりこの像を見ておかなければ、山下公園に来た気がしない、と向かったのが「赤い靴の女の子の像」。

赤い靴の女の子

この像を見ていたら、若い女性の観光客が、こんなことを言いながら、女の子の像の頭を撫でていた。
「この女の子、異人さんに連れてかれちゃったんだよ。かわいそうなんだよねー」

・・・そうじゃないのに。確かに、この歌のモデルになった女の子の人生は不憫なのかもしれない。
でも、歌にある「異人さんに連れられて行っちゃった」というのは、その女性が言っていたようなことではないから。
歌詞だけを、このご時世にストレートに受け止めてしまうと、誘拐だの拉致だの、物騒なことを想像してしまうのは仕方ないけど。

「赤い靴はいてた女の子」の歌は、「きっとあの子は、海の向こうで幸せに暮らしているに違いない」という、きみちゃんという幼い娘を、北海道の開拓に連れて行くことができず、やむなくアメリカ人宣教師に養女に出した、お母さんの気持ちを代弁した歌だ。

同じ女の子の像は、東京・麻布十番にもある。(*1)
きみちゃんは、新しい両親と生活することなく、現在の麻布十番にあたる場所にあった孤児院で、短い生涯を終えていたのだ。
結核にかかってしまい、船での移動が困難になってしまったせいらしい。
きみちゃんのお母さんは、それを知らないまま、娘の幸せを祈っていたのだそうだ。

悲しいんだけど温かい。この像を前に、そんな気持ちがした。
海の向こうを眺めている女の子の像。何を想って眺めているんだろうか。

「ヨコハマ関心空間」赤い靴の女の子の話
http://www.kanshin.jp/yokohama/?mode=keyword&id=377512

「麻布十番商店街」(http://www.azabujuban.or.jp/)内の、赤い靴の女の子の像の話
http://www.azabujuban.or.jp/juban/akaikutsu.html

wikipediaの「童謡・赤い靴」の話
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E3%81%84%E9%9D%B4

結構有名な話だと思ってたんだけどなぁ。知る人ぞ知る話なのかな。
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(2009/11/16追記)
最近知ったのですが、「赤い靴の女の子=きみちゃん」説は捏造だとする意見があるそうです。
作詞者である野口雨情は「自分の作品にはモデルは存在しない」と語っているようですが、結局のところ、雨情亡き現在では、この歌のストーリーが事実をモチーフにしているのか、それとも創作なのかを完全に断言できる人はいないでしょう。
とりあえず、私の個人的な意見としては、「赤い靴はいてた女の子の像」は、あくまで歌の像だと思っています。きみちゃんではなく。
私が気になるのは、「赤い靴の女の子=きみちゃん」説に基づいて、麻布十番(実在のきみちゃんが最後に過ごした土地)の物を含めて、5体もきみちゃん関連の像が存在することです。きみちゃんと直接の関連がない土地にもあるとか・・・。
歌のモデルか否かは別として、きみちゃん自身は実在の女の子です。
こじつけのような形で、町おこしや観光に利用されてしまっているのは、いかがなものかと感じます。
(追記終わり)

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赤い靴の話はだいぶ前から知っていたけど、今回、横浜を散策していて、私も知らなかったある実話を知った。

買い物をしていたら、ふと目に入った映画のチラシに妙に惹かれて手にとってみた。
映画の名前は「ヨコハマメリー」。
1996年頃まで50年近く、娼婦として横浜の町に立っていた「ハマのメリーさん」と呼ばれた一人の女性を、周囲の人のコメントなどから迫ったドキュメンタリー映画。

メリーさんは、顔はおしろいで真っ白、アイラインを極太に入れ、服装も真っ白なドレス。
その風貌もあってか、横浜ではかなり有名で、メリーさんにまつわる都市伝説までできてしまった程らしい。
自分のことを語らない人だったらしく、そのせいで、いろんな噂が一人歩きしてしまったようだ。

観光ではわからない横浜が見えてくるんじゃないかな。
4月に横浜と新宿で公開される。観てみようかな。

映画「ヨコハマメリー」公式サイト
http://www.yokohamamary.com/yokohamamary.com/

*1:他にもきみちゃんの生まれ故郷の静岡と、お母さんが暮らした北海道にもある。


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