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2006年3月 6日

●vol.106:「Coward」についてもう少し書いてみる

ENDLIさんの1stAlbum「Coward」を手にして6日目。
ひたすら繰り返し聴いている。

これ、面白すぎる。
これまでの堂本剛名義での作品もファンとしての欲目はあるものの、いい作品だったと思う。
しかし、「面白い」とまで思ったことはない。
断っておくけど、「面白い」と言っても、ギャグとかの「面白い」とは違う。
剛さん自身が嬉々として音楽を創っている様が目に浮かぶような、チャレンジャーなサウンドがいっぱいなのだ。
そんなにたくさんの音楽を聴いてきたわけではないけれど、初めて耳にするようなアレンジとかが1枚にたくさん詰まっていて、「こういう音楽ってアリなんだな」という発見がある。

それに、剛さんの書く歌詞(中には「詩」だという人もいる)は比喩を多用していて難解であることが特徴だけど、相変わらず難解で深く読み込んでいかないと腑に落ちてこないものの、公式サイトでセルフライナーノーツが掲載されるなどしていて、これまでの中では、一番わかりやすいものになっているように思う。
ENDLI名義にしたことで、いい意味でファンへの遠慮がなくなった、と雑誌などで語っているだけに、アレンジも歌詞も遠慮が無いからかもしれない。
やりたいこと、言いたいことが、これまでよりもストレートに出せているのが、今回の「Coward」なんだと思う。

でも、もしそうなら、この仕上がりを見る(聴く)と、「なんで今まで遠慮してたの?」と思う。
剛さん考えすぎだよ、と。
とは言え、「Coward」に関わっているミュージシャンやアレンジャーが「【si:】」のメンバーとかなり被っているところを見ると、「【si:】」がなければ「Coward」もここまでにならなかった、と考えることもできる。
とりあえず、ENDLIを立ち上げたことで、剛さん自身が今後はあれこれ考えなくてもよくなったとしたら、これからが俄然楽しみというものだ。

今のところ、ENDLI名義の作品は、これまでの堂本剛名義の作品よりも売れ行きはよくないみたい。
本当は、これまでに以上にたくさん聴いてもらわなければ手にとってもらいにくい、今回のような「音重視」の作品は逆に露出(TVより、FMラジオ重視がいいと思う)をすべきなのに、KinKiの番組では当然一切告知はしないし。
やはりENDLI自体が知られていない。
これまで出たことの無い音楽雑誌に掲載されるなどしても、その影響はあまり多くを望めないだろう。
従来からのファンが購入してしまえば、本来の読者であるコアな音楽ファンに読んでもらうチャンスを減らしてしまうから。
ファンが喜ぶような、いい写真が多すぎる(苦笑)。もっと、活字ばっかりの方がいいんじゃないの?と思ったくらい。
出版社は売り切れ続出で嬉しいだろうけど。

とは言え、売れる売れない、といったことは、現時点ではあまり意味を成さないような気がする。
むしろ「Coward」は売れなくてもいいのかもしれない。
これまで、参加した全ユニット(KinKi・J-FRIENDS・堂本剛・トラジハイジ・ENDLI)のデビュー作が初登場1位。
でも、本当に大事なのは、時間をかけてでも、多くの人に聴いてもらうことで、ファンが発売日に買って、それ以降はチャートを急降下・・・っていう、いつものパターンでは、せっかくの作品が勿体ない。
それに、今後もっとすごい作品が出た時に「私は最初から目を付けてたもんね!」って自慢できるかもしれないし(^_-)

楽曲のことを全然書いてなかった(^^ゞ
vol.104で「グッと来た」と書いた曲と、おまけに何曲か私なりの独断と偏見と勘違いに満ちたレビューを・・・

M02「故意」
結婚して何年か経った夫(公式サイトによれば30代くらい)の立場からの、妻に対する愛情を唄っている爽やかな歌。
この歌詞は結構わかりやすい部類に入るかもしれない。
メロディはこのロック・ファンク色の強いAlbumの中にあってポップ傾向。剛さんの歌唱もなめらかで爽やか。
アレンジでは打ち込みの「ピコピコ」って音が可愛い感じ。
セルフライナーノーツだけでは全体がわからないので、買うまで「やっぱりディープな歌ばっかりなんだろうな」と想像していた私の予想を大きく裏切る格好になった。
♪ある日から少しずつ形を変えて
きみへ投げる想いは
想像遥か超え綺麗である
(1番サビ)
”自分の想像をはるかに超えてしまう程、君への想いは綺麗”・・・こんなフレーズを独身の剛さんが書いてしまうなんて。 ものすごい妄想家だと思う(爆。でも、本人も認めている)。
しかし・・・こんな風に旦那様に愛される妻になってみたい。(その前に彼氏もいないが(-_-;))
余談になるけど、この曲を憲さんが唄っているのを見てみたい、とすごく思っている。

M05「a happy love word」
あるドキュメンタリー番組で、戦争で子供を亡くした女性が発した言葉に剛さんが触発されてできた曲。
剛さんお得意(?)の女性詞。
この女性詞が、ちょっとレゲエっぽい感じもするサウンドと、曲に合わせてボーカルスタイルを変える剛さんの少しかすれた声に乗ると、めちゃくちゃ渋い!
これは、世界を作らないと唄えない。カラオケじゃ絶対無理だ(笑)

M07「Chance Comes Knocking.」
ファンク!カッコイイ!
限りなくinst。ちょっとだけ剛さんとコーラスのボーカルが入っている。
聴いているとジリジリとボルテージが上がってくる感じがする。
「私ファンクが好きなのかも」と感じた。

M09「SixPack」
これもファンク系なんだけど、メロディは結構ポップで聴きやすいと思う。
3日の「ミュージックステーション」で唄ったので聴いた人もいるかもしれない。
恋愛に関してSixPack(腹筋がきれいに6つに割れている様)を持っている主人公(男)。
どんな態度をされても平気だぜ!って感じ。でも強がりなだけ。身も心も実はメロメロ。
2番はエロい光景が結構ストレートに表現されている。
「玄関先」で、そ、そんなことっ・・・。遠慮がなくなると、こうも大胆な発想が出てくるもので。
それよりも、日本で「玄関先」っていう単語をこんなにセクシーに言える(唄える)のは剛さん以外にいないと思う(爆)

M12「美しく在る為に」※通常版のみ収録
これもグッと来た、と書いてるんだけど、この曲は是非通常版を手にとって聴いて頂きたいので、パス。
とっても前向きで強い歌。

M13「これだけの日を跨いで来たのだから」

♪悲惨な出来事なんて あるのが当たり前じゃない?

このフレーズだけ見ると、諦めというか絶望的な感じがするけれど、このフレーズに続いてこの曲のタイトルと同じ「これだけの日を・・・」と続いてくる。
すると、日々を生きていく中で、毎日が平和であるとも限らないし、毎日が不幸であるとも限らない、だから生きていくのだ、という強い意志が見えてくる。
曲調はソウルな感じのバラード。ボーカルは、語っているようにも、叫んでいるようにも聞こえる。
この曲は壮大なメッセージを送っている。
そのせいか、アレンジも歌詞も、この曲は「Coward」の中で最もシンプルだと思う。

何度も聴きこんでいると、剛さんのボーカルの進化っていうのをすごく感じる。
10代の頃から「歌の上手い子だな」と思ってはいたけれど、上手下手とかの話はどっかに言ってしまうくらいの状態だ。
以前から、歌の世界に合わせてボーカルスタイルが変わる人ではあったけれど、それがますます磨きがかかったと言うか。
歌の世界で、その主人公を演じているような気がする。
曲に合わせて自在に感情を操ることができるのは、ドラマの主演を経験してきた演技力のせいなんだろうか。
これも役者としてのキャリアの賜物なのかもしれないが、滑舌のよさもあるとみる。あの言葉数の多い歌詞は、滑舌がよくなければ唄いこなせない。

声質もだいぶかわったような気がする。
KinKiとしてのCDデビュー当時、山下達郎氏から「濡れている」と評された声が年齢を重ね変化し、唄い方も少々しつこい感じであった何年かを過ぎて、ちょうど「【si:】」の頃には、語弊があるかもれないけれど「素直な声」に落ち着いたような気がする。それがまた時間を経て、昨年のKinKiの「SNOW!SNOW!SNOW!」を聴いた時、伸びがあり、深みの増した声に聴き惚れた。テレビなどで聴く限りでは、まだ、安定していないようにも思うが、19日から始まる64日間にわたるロングランライブで唄いこむうちに、すごいことになっているんじゃないか、と思う。
この人は、いろんなことを物凄いスピードで吸収してしまう人だから。

Coward」を聴いていると、今後への期待感がすごく高まってくる。
作品自体の面白さはもちろん、いつも感じていることだけど、剛さんには限界が見えない・・・というか「伸びしろ」を感じる。
もっともっとこの人は「できる」のかもしれない・・・それが何かわからなくとも、そう感じてしまう。
でも、それを見せてくれるのは、「出来たとき」でいい。なぜか、そう思えてしまうのだ。

------剛さんと呼ぶべきか、ENDLIさんと呼ぶべきか・・・迷っていたけれど、本人が「堂本でいいですから」とラジオなどで言っているので、作品の名義は分けるとしても、このブログでは、これからは区別せず「剛さん」に統一することに決定。


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